旧ユーゴスラヴィア世界遺産 - セルビア
スタリ・ラスとソポチャニ
セルビアには、スタリ・ラスとソポチャニ修道院という世界遺産があります。
これは、現在のセルビア領内で最初に登録された記念すべき世界遺産です。

スタリ・ラスとソポチャニは、セルビアモンテネグロの中央に位置しています。
もともと10世紀から13世紀にかけて、セルビアの最初の首都として栄えた場所で、かつてはスタリ・ラスと呼ばれる土地でした。
スタリ・ラスとソポチャニでは、ノヴィ・パザル周辺にある、かつての王都ラスの王宮遺跡や、セルビア最古の聖堂、近隣の関連する建築物群などが世界遺産として登録されています。
その中でも最も有名なものは、ソポチャニ修道院です。
セルビア正教会の修道院で、1260年頃に建てられました。
かつてのセルビア王である、ステファン・ウロシュ1世が作らせた修道院で、ビザンティン美術の中でも特に素晴らしく優れているとして有名です。
特に敷地内には付属聖堂である、聖三位一体教会があり、そこには大変希少なフレスコ画が保存されています。
「生神女の就寝」は、作者は不明ですが、セルビアに現存するフレスコ画の中では最も完成度が高く美しいと評されています。
もともとビザンチン美術は、13世紀後半から14世紀後半にかけて栄えましたが、この「生神女の就寝」は、1265年頃に描かれたものだといわれています。
世界的に見ても非常に価値が高いため、セルビアに来たらぜひとも見ておきたいものです。
またそれ以外にもソポチャニ修道院には、数々の印象的なビザンチン美術が描かれており、また、内部の壁画は、それぞれ年代の異なる複数の層に分かれていて大変興味深いことでしょう。
他に、スタリ・ラスには、聖ペトル聖堂とネクロポリスもあります。
こちらは、プレ・ロマネスク様式の聖堂・墓地で、聖堂は6世紀頃に作られ始め、10世紀頃に建造物群として完成したといわれています。
セルビアだけでなく、バルカン半島にあるキリスト教関連の建造物の中では、現存するこの聖堂は最古のものなので、一見の価値があります。
また、ジュルジェヴィ・ストゥポヴィ修道院は、1168年に創建され、修道院付属の聖ゲオルギ聖堂は、その外観に特徴があります。
ロマネスク建築とビザンティン建築が混ざり合った独特の外観になっており、後にこの様式が数々の建築物の建築に大きな影響をもたらしました。
また、この修道院には、12~13世紀にかけて描かれたフレスコ画も残っており、美術価値が大変高いことで知られています。
他にも、トゥルゴヴィシュテの下町を含むグラディナの城壁も世界遺産として登録されています。
グラディナの城壁はかつてそこにあったトゥルゴヴィシュテの町を守るために、周囲に作られた城壁です。
9世紀頃から12世紀にかけて作られ、その形が当時の建築様式の特徴を色濃く残しており大変興味深いです。