アフリカ世界遺産 - セイシェル
ヴァレ・ド・メ自然保護区
インド洋に浮かぶアフリカの島国、セイシェル共和国は大陸と隔絶した環境のため、固有の動植物が生息しています。
100以上の島からなるセイシェル共和国で2番目に大きい島がプラスリン島です。
こちらのヴァレ・ド・メ自然保護区は世界遺産に指定されている自然の宝庫です。

南国の島国に生えている植物というと、ヤシを思い浮かべる方が多いでしょう。
世界遺産のヴァレ・ド・メ自然保護区にはフタゴヤシの原生林が残っています。
このフタゴヤシ、幹の高さは30mになり、つけるヤシの実も世界最大です。
「ヤシの女王」とも呼ばれています。
フタゴヤシは5000本ほど群生しており、これで全世界の4分の1ほどになります。
その実は直径50cm、重さ20kgにも達します。
また、実の形が非常にユニークで、女性の下半身のようだといわれることもあります。
もしかしたら日本国内の植物園などで展示されているかも知れませんが、巨大なヤシの群生地には圧倒される事でしょう。 当然の事ながらヤシの実を保護区内で採取する事は出来ません。
世界三大珍鳥とよばれるブラックパロット、セイシェル・ルリバト、セイシェル・キアシヒヨドリが一度に見られるのも、世界遺産のヴァレ・ド・メ自然保護区の特徴です。
ただ、絶滅危惧種ですので、滞在中に見つけるのは難しいかも知れません。
他にもクロインコやセイシェル・タイヨウチョウという固有種を見かける事が出来ます。 動物でもカメレオンや、一見するとミミズやヘビの様なアシナシイモリなどが生息しています。 特にアシナシイモリは現存する両生類でもっとも原始的な形質を残しており、「生きた化石」とも言えます。
東南アジア、インド、中南米、熱帯アフリカに生息しているもので、海を渡れないにも関わらず広く分布している事から、かつては世界が一つの大陸だったことを窺わせる貴重なものです。
この自然の宝庫について、イギリスの詩人アトール・トーマス(Athol Thomas)は、1924年に出版された『忘れられた楽園』(Forgotten Eden)で賞賛しています。 80年以上経った今でも、人間社会の発展から忘れられたような動植物の楽園がそのまま残されています。
セイシェル共和国最大の島であるマへ島からも近いので、観光の便は悪くないと言えるでしょう。
世界遺産で自然保護のために観光客から徴収する入場料はやや高めですが、他では絶対に見られない巨大なヤシ林などはその分の価値が十分にあります。