中東諸国世界遺産 - レバノン

ティルス

「ティルス」はレバノン南西、地中海に面した場所にある古代遺跡です。もともとはフェニキア人の都市国家でしたが、ここもやはりその他の地中海都市と同様にローマ帝国の支配下に入りました。残存している遺跡のほとんども古代ローマ帝国時代の建造物です。1984年にユネスコの世界遺産に登録されました。なおこの地は現在スールという名の小さな漁村になっています。

「ティルス」という都市国家はもともと海岸沿いの陸地のみを領土にしていましたが、現在では海峡向こうの島と陸続きになっており、そちら側にも遺跡が存在しています。このような変わった地形になったのには、歴史的な経緯があります。

紀元前1000年頃、かつてこの地を治めていたティルス王が、防衛上の理由から都市を大陸側から少し離れた小島に移し、その中間にある小島を繋いで海中に砦を形成しました。もともと都市があった陸地側からの攻撃に備えるためです。ここに紀元前322年に侵攻をしかけたのがかのアレキサンダー大王でした。砦を擁する海峡の向こうにあるティルスを征服するため、彼はわざわざ橋を造ってから攻撃を仕掛けました。最終的にティルスは陥落しましたが、このときに作られた橋に土が積もったために、陸地側と島側が現在陸続きになっているということです。

さて、現在「ティルス」にはフェニキア時代の遺跡は存在せず、形を留めているのはすべてローマ帝国占領下時代の遺跡です。
もっとも有名なのが、海に向かって伸びている“列柱通り”と呼ばれる遺跡です。列柱といっても、古代神殿によく見られるような巨大なものではなく、人の背丈くらいの可愛らしい柱が狭い道の両端に並んでいるだけです。とはいえ、道は煉瓦で舗装されており、道の左右にも建造物の跡が残っています。目の前には地中海をのぞみ、朽ちた煉瓦と下生えの緑を視界に入れながら、整然と並べられた列柱の間を歩く……。なんとも旅情にあふれ、歴史ロマンを感じさせる体験だと思います。

他にも、段ボールほどの大きさの石棺が並べられた墓地や、堂々たる風格の凱旋門、大きな列柱が並ぶ舗装道路や商店街、競技場とそれを見物するための観覧席、水槽やプールの跡など、陸側と島側双方にわたって多種多様な施設の遺構が良好な保存状態で残されています。一通り見て回れば当時ここに住んでいた人たちの生活に思いを馳せることが容易にできるでしょう。

ロケーション、それに纏わる歴史的経緯、遺跡の豊富さ、どれを取っても世界遺産「ティルス」は第一級の魅力を有する古代遺跡であることは間違いありません。レバノンには他にも世界に名だたる世界遺産がいくつかありますので、それらと合わせてレバノン観光をしてみるといいかもしれません。

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