西・中央アジア世界遺産 - イスラエル
マサダ
「マサダ」はイスラエル東部にある世界遺産です。標高約400メートルの岩山の上に位置しており、頂上は平らな台地になっていてそこに要塞が設けられています。「マサダ」というのもヘブライ語で「要塞」を意味しています。2001年にユネスコの世界遺産に登録されました。

もともと「マサダ」は、この地がローマ帝国の属州であった紀元前2世紀頃に造られた要塞でした。その後紀元前40年になると、かのヘロデ王が要塞兼離宮として更なる開発の手を加え、台地を城壁で囲み、宮殿・浴場・プールなどを設営しました。岩山という地形を利用して造られた「マサダ」は、三方が断崖絶壁、残る一方も急勾配になっており、当時難攻不落の要塞であると言われました。
「マサダ」は世界史的に有名な事件が起こった現場であり、特にイスラエル人にとっては忘れられない場所です。というのは、ユダヤ戦争下の73年、ここでユダヤ人の集団自決が行われたからです。ローマ帝国によってエルサレムを陥落されたユダヤ人の一部がマサダに立てこもり、2年近くもローマ軍の侵攻に抵抗しました。しかし結局攻め落とされてしまい、陥落に際して967人のユダヤ人は捕虜となることを拒み、集団自決という道を選びました。
このような歴史的経緯もあり、「マサダ」はイスラエル国内で人気の観光地となっています。また、こうした悲劇を繰り返さないようにと、イスラエル軍の入隊式は集団自決の現場である「マサダ」頂上で行われているということです。
「マサダ」の台地上にある居住地跡へは“蛇の道”と呼ばれる狭い登山道もありますが、ロープウェイでも行くことができます。厳しい日差しの下、2時間も登山道を歩くのは大変です。体力に自信のない方は無理せずロープウェイで頂上まで行くことをお勧めします。
「マサダ」の台地には、大きな石を積み上げて築かれた迷路のような遺跡が残っています。また、ヘロデ王の手による宮殿跡や浴室なども見ることができます。四方が切り立った岩山の上ですから、そこから眺望できる景色も素晴らしいものとなっています。見渡す限りの荒野のはるか向こうに死海が望めます。
歴史的悲劇の現場「マサダ」。この地を訪れ、今も昔も変わらぬ戦争の痛みに思いを馳せてみるのも良いでしょう。すぐ近くには体が浮くことで有名な「死海」もあり、世界遺産を堪能した後はそちらもあわせて訪れるのが定番となっています。イスラエルを旅行した際には、外せない観光スポットと言えるでしょう。