韓国世界遺産
慶州歴史地区
慶州は、韓国が誇る千年の都です。朝鮮半島を統一し、千年の繁栄を誇った新羅王朝の首都でした。BC1世紀からAC10世紀、56人の王が支配した古都です。2000年には、「慶州歴史地区」として、ユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録されました。ちなみに、世界遺産「石窟庵と仏国寺(前記事参照)」も慶州にありますが、市街から外れているため、別に登録されています。

●新羅の歴史と文化
新羅(しんら/和名でしらぎ)は、朝鮮半島最初の統一王朝です。AC57年頃を起源とし、新羅と号したのがAC4世紀、668年には、高句麗(こうくり)や百済(くだら)王朝を亡ぼし、朝鮮全土を統一しました。
ちなみに、新羅が統一戦争をし、次々と国を統合して言った頃、飛鳥時代であった日本には、逃げてきた多くの朝鮮人が渡来してきたと考えられています。
首都は金城(クムソン)は、その後の高麗王朝によって「慶州(キョンジュ)」と改称されました。朝鮮半島南東部、日本海に面した古都です。現在の慶州は、重要な遺構が集まっており、しかも現代的な建造物が遺構周辺にはないため、古のたたずまいを今に残しており、世界的な観光地となっています。
新羅は 935年に高麗によって亡ぼされ、都は現在の北朝鮮の南部になる「開城」に移されました。
●世界遺産「慶州歴史地区」の見どころ
「慶州歴史地区」は、5つのエリアに分類され、ユネスコに登録されている文化財が52ヶ所あります。
まず、数多くの仏教遺跡が残る〈南山(ナムサン)地区〉。韓国人は、「慶州は南山で始まり南山で終わる」という言葉があり、この山は古くから神聖な場所だったようです。山中のあちこちの岩肌には磨崖仏があり、陵墓や仏塔などもあります。近年、韓流ドラマでも有名になった善徳女王の墓もこの地にあります。
次に〈黄龍寺(ファンリョンサ)地区〉。その名の通り、黄龍寺遺跡のあるところです。この古寺は、現在は広大な敷地に礎石を残すのみですが、規模は2万5000坪という、新羅を代表する寺院でした。寺は高麗王朝時代の13世紀に、蒙古(モンゴル)の侵入により焼失されましたが、多くの遺物が出土されている、重要な遺構です。
〈月城(ウォルソン)地区〉は、新羅の王宮であった半月城跡や、韓国最古で国宝に指定されている天文台「慶州瞻星台」があります。〈大陵苑(デルンウォン)地区〉は、古墳が密集しており、〈山城(サンソン)地区〉は、都を守る明活山城があります。
慶州歴史地区は「屋根のない博物館」とよばれ、1000年の歴史の宝庫です。5つのエリアは全て市の中心部にありますので、レンタカーやレンタサイクルなどでゆっくりと巡るのがお勧めです。また、この地の壮大な歴史に触れる前に、まずは慶州国立博物館で歴史を辿ってみるのも良いでしょう。
●慶州の地理と周辺観光
慶州は、韓国慶尚北道南東部の都市です。アクセスは、首都ソウルより、釜山または金海国際空港の方が近く、バスで約1時間ぐらいですのでお勧めです。釜山からの日帰りツアーなどもありますが、見どころ満載ですので、歴史好きなら、滞在してゆっくり観光される方が良いでしょう。
滞在には、慶州市内から東に6.5kmにある普門観光団地が人気です。明活山城跡に作られた人工湖「普門湖」を中心として美しい自然を背景に、現代的な豪華ホテルやゴルフ場など各種のレジャー施設がある国際観光リゾートです。湖畔は桜の名所で散歩にも最適ですし、新羅の街並みを再現したテーマ-パーク「新羅ミレニアムパーク」も楽しい散策ができます。