スイス世界遺産
ベルン旧市街
スイスという国は、アルプスの国として、または時計などの技術の国として大変有名です。しかし、スイスの首都となると、どこだかわからない、という方も多いのではないでしょうか。

チューリッヒやジュネーブは銀行や国際機関があることから有名ですが、これらは首都ではありません。今回は、スイスの首都ベルン、その中でも世界遺産として登録されているベルン旧市街について紹介します。
ベルンはアール川のほとりにある街で、現在の人口は12万人と、中規模の都市です。世界遺産になっているベルン旧市街は、1192年に周辺の領主であるツェーリング家のベルトルト5世によって建設が始まりました。
ベルン旧市街という街を語るときに抜きにはできないのが、その美しい町並みです。青緑色の蛇行するアール川と濃緑色の森の中に見える赤い屋根の家並みは、中世ヨーロッパの街、という想像をすればまさに浮かんでくるものとほとんど一致します。世界遺産に登録された理由も、中世の街並みが綺麗に保存されている、というのが理由として大きかったようです。
さて、ベルン旧市街の中でひときわ目を引くのが、街のシンボルでもある時計塔です。建造は12世紀末ということですから、街の歴史とほぼ同じ時間、ベルンで時を刻み続けてきたことになります。16世紀にはさらに時刻を告げると共にからくり人形が動く天文時計が備え付けられ、いっそう華やかなものになりました。
時計塔と双璧をなす街の象徴がベルン大聖堂です。
こちらは1412年に建造が始まり、完成までになんと150年以上もかかりました。尖塔の高さは100メートルにもなり、門の部分には最後の審判の彫刻が彫り込まれています。
ベルン旧市街の街並みを歩いていると、たくさんの噴水を見ることができます。石造りの噴水は花でで飾られ、魔女や英雄の像が備え付けられています。
スイスといえばどこか牧歌的なイメージがある国ですが、その歴史は大国に翻弄される過酷なものでした。そのため、スイスの都市には古くからの防衛施設を見て取ることもできます。
ベルンの旧市街にも石造りの家並みの基礎部分にはアーケードが作られ、一部は地下道になっています。これは15世紀に作られたもので、砲塔や落とし穴を備え、街に敵が侵入してきた時に撃退できるようになっているのです。アール川に囲まれたベルン旧市街の位置そのものも、元はせめて来る敵から守りやすいように、と決められたものでした。
中世の華やかな歴史と暗い戦争の香り、両方を感じ取ることの出来る場所であるスイス・ベルン旧市街は、まさに世界遺産にふさわしい街であると言えるでしょう。