トルコ世界遺産
サフランボル市街
サフランから名づけられたといわれる「サフランボル」は、トルコ北西部の黒海沿岸地方にあります。トルコの伝統的な建造物が建ち並び、トルコで最も古く美しい街とも言われているところです。この歴史ある街並みが残る旧市街を、「サフランボル旧市街」として、1994年にはユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録されました。

■オスマン・トルコの歴史と文化
ここで、小アジア(アナトリア)で最も長く、現在のトルコ共和国に変わるまで続いたオスマン・トルコ帝国についてご紹介しておきましょう。
オスマン・トルコ帝国は、アナトリア西北部の興った13世紀末の小国から始まります。徐々に勢力を拡大させ、版図はアナトリアからバルカン半島へ、さらに地中海沿岸のシリアやエジプトなどと広がり続け、1453年には東ローマ帝国(ビザンチン帝国)の首都コンスタンティノーブルを攻略、ついに亡ぼしました。
オスマン・トルコの最盛期は16世紀のスレイマン1世の時です。その後は緩やかに後退がはじまり、20世紀初頭の革命によって、トルコは共和国となるのです。
オスマン・トルコはイスラム国家です。それは現在も変わりません。文化的にも、主に建築や陶芸・文学などで大いに発展を見せました。特に〈オスマン建築〉と呼ぶ様式のモスクや宮殿などには、名高いものが多くあります。
「サフランボル市街」にも、〈オスマン建築〉の建築物が多く現存していて、往時の華やぎを見せています。
■世界遺産「サフランボル市街」の見どころ
「サフランボル市街」は、1日あれば十分に見て回れる小さな街です。なんといっても古いイスラムの街並みですので、ゆっくりと歩くのがお勧めです。
サフランボルにある歴史的建造物は、13〜17世紀のものが中心です。まずは街を一望できる〈フドゥルルックの丘〉に登りましょう。モスクやハマム(トルコ式浴場)などの姿を見ることができます。
街の中心には、キャラバンサライ(隊商宿)があります。サフランボルは13世紀以降、交易で栄えた街ですので、いくつものキャラバンサライがあり、現在はホテルになっているものもあります。
他にも、17世紀のキョプリュリュモスクや18世紀のイゼットメフメットパシャモスクと図書館などもぜひ行って見たいところです。また、アラスタ・バザールで、ショッピングを楽しむこともできます。
■サフランボルの地理と観光
トルコで最も美しい街「サフランボル市街」は、首都アンカラからはバスで約3時間、またはイスタンブールから約6時間です。バスは新市街から、世界遺産となっている旧市街へ向かいます。新市街にも旧市街にもホテルがありますので、好みで選んでみてください。
サフランボル観光の見どころは旧市街に集中していますが、1日あれば観光には十分です。もし、日程に余裕があるのなら、黒海沿岸地方に向かうのも良いでしょう。港街ソンダルダックへは車で2時間程度です。黒海沿岸には、ローマ帝国時代の遺跡が残るバルトゥンや木製のステッキで有名なデウレックなどがあり、黒海の風光明媚な景色も楽しめます。