ベルギー世界遺産

ラ・ルヴィエールとル・ルーにあるサントル運河の4つのリフトとその周辺

サントル運河は、マース川(仏語でムーズ)とスヘルデ川(仏語でエスコー)のドックを連絡し、ベルギー経由でドイツからフランスへ直通させるために作られた運河です。しかし、二つの川には高低差があるため船用のリフト(エレベーターのようなもの)が建造されました。この水力式のボート・リフトは、1998年に「ラ・ルヴィエールとル・ルーにあるサントル運河の4つのリフトとその周辺」として、ユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録されています。

●近代ベルギーの産業革命と運河
ベルギー南部のワロン地方は、石炭や鉄鉱石などを産出し、19世紀には工業が発展しました。ヨーロッパ大陸で最初に産業革命が始まった土地としても知られています。そのため水路も発達しました。

「サントル運河」は、フランス北東部からベルギーを通過し、オランダを経由して北海に流れる「マース川」と、フランス北部からベルギー・オランダ、北海へと流れる「スヘルデ川」を結んだものです。

実は、「マース川」は、フランスでは運河網によってセーヌ川まで通じ、オランダでは運河がライン川に接続しますし、一方の「スヘルデ川」は、流域最大の都市アントウェルペン(アントワープ)を通り、ブリュッセルやリエージュといったベルギーの重要都市を通っていたのです。産業革命によって汽船が誕生した19世紀のヨーロッパは、陸路よりも水路の整備が進みました。この二つの川を運河で結ぶことは、ワロン工業地帯にとって、非常に重要なことだったのです。ベルギーは運河と川を利用した水運によって、フランスやオランダ・ドイツと直接輸送することが可能となりました。

●世界遺産「ラ・ルヴィエールとル・ルーにあるサントル運河の4つのリフトとその周辺」の見どころ
「ラ・ルヴィエールとル・ルーにあるサントル運河の4つのリフトとその周辺」は、1888〜1917年に建設されました。運河の高低差約67mを解消し、船を昇こうするための4基のボートリフトです。これは、19世紀の運河建設および水工学の頂点と言われています。世界遺産の登録には、運河にかかる橋などの関係施設も含まれ、敷地全体となっているため、19世紀の産業風景がそのまま残されました。

ボートリフトは、創建当時のまま稼働しているものとしては世界でも唯一のものです。しかし、現在はそばに1基で全高低差を解消する巨大なボートリフトが完成しているため、観光用となっています。

観光には、まずは小さな博物館を見学の後、ボートに乗船するガイドツアーがあります(要予約)。1時間程のスリル感ある船旅に、多くの観光客が集まる人気スポットなのです。

●ワロン地方の地理と観光
「ラ・ルヴィエールとル・ルーにあるサントル運河の4つのリフトとその周辺」は、ワロン地方のエノー州の州都モンスから車で20分程のところにあります。モンスの観光については、「スピエンヌの新石器時代の火打石採掘地」記事でご紹介していますので、ここではワロン地方のお勧めをご案内しましょう。

ベルギー南部のワロン地方は、豊かな自然に包まれた古城をめぐる旅が人気です。ナミュール州には、素晴しい庭園で有名なアンヌヴォア城やナミュールの城砦、ディナンの城砦など、リュクサンブール州には、ベルギー最古のブイヨン城やデュルビュイ伯の城館など、エノー州には美術品や蔵書でも有名なベルイユ城などがあります。

また、ワロン地方には、自然の景観が美しい、小さな村が点在しており、そのうち24村が「ベルギーの最も美しい村」として認定されています。それぞれが地形によって異なる美しい景観を持ち、街並みにもさまざまな表情があります。特産品もいろいろとありますので、街に宿泊をして、ゆったりとめぐると贅沢な旅が楽しめるでしょう。

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