ベルギー世界遺産

モンス市スピエンヌの新石器時代の火打石採掘地

ベルギーのイメージと言えば、「フランダースの犬」や「エルキュール・ポアロ」のイメージ、オランダ、ドイツ、フランスに囲まれた中世の古都でしょうか。しかしベルギーには紀元前4000年の遺構があることはあまり知られていないかもしれません。

実はこの遺構は、ベルギーという枠組を超え、ヨーロッパ全体としても重要な位置づけがなされているものです。それが、モンス市にある「スピエンヌの新石器時代の火打石採掘地」です。2000年にはユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録されました。

●新石器時代の西ヨーロッパ
ヨーロッパにおける新石器時代は、ギリシアで紀元前7000年頃、西ヨーロッパでは紀元前4500年頃からと考えられています。新石器時代とは、人類の黎明期、農耕や牧畜がはじまり、社会構造が変化してくる頃です。その後、青銅器時代へと進み、古代文明が興ります。

ヨーロッパにおける新石器時代は、紀元前3000年頃からはじまるドルメンやストーンサークルといった巨石文化に代表されますが、あまり多くのことは分かってはいません。この地には、資料となるような記録は現存しておらず、文字もありませんので、残された遺構や発掘された遺物などの考古学的なアプローチから研究が進められています。

その中で、最も古いものとして貴重な遺構が、ベルギーにあります。それが「スピエンヌの新石器時代の火打石採掘地」で、採掘は4000年頃からはじまったと考えられています。

●世界遺産「モンス市スピエンヌの新石器時代の火打石採掘地」の見どころ
「スピエンヌの新石器時代の火打石採掘地」は、首都ブリュッセルから電車で1時間のモンス市近郊のスピエンヌ村にある、ヨーロッパ最古の鉱山跡です。周囲には集落の跡も発見され、紀元前4000年から紀元前750年頃まで、火打ち石用の石英などの鉱石を採掘していたと考えられています。

坑道は深さ8〜10メートルにおよび、面積は100ヘクタールになります。
スピエンヌでは、現在も発掘作業が進められていますが、残念ながら2013年までは、毎月第一日曜日を除き、公開は一時的に中止しています。しかし、観光向けの新しいセンターを建設中とのことですので、出来次第見学が再開される見込みです。

●モンスの地理と観光
スピエンヌ村のあるモンス市は、ワロン地方のエノー州の州都です。首都ブリュッセルから南西に55km、電車で約45分、またフランスとの国境近くで、パリからも電車で1時間半程度です。

街の歴史は古く、貴重な建築物や文化遺産があります。有名なところでは、ベルギーでも指折りの美しさを誇る〈聖ウォードリュ参事会教会〉や、世界遺産となっている「ベルギーとフランスの鐘楼群」の一つに登録されている鐘楼などでしょう。

また、この地は炭鉱が盛んであったことでも有名です。モンスから約15kmのところに、1810年に建造された炭鉱のための複合施設も残されています。この歴史的建造物は、ネオクラシック様式で美しく、また現代美術館も併設していますので、一見の価値があります。さらに、画家ゴッホが、この炭鉱地帯で伝道師をしていました。モンスから約3kmにあるキューム村には、1879〜1880年に住んでいた「ゴッホの家」があります。

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