カナダ世界遺産

ウォータートン・グレイシャー国際平和自然公園

「ウォータートン・グレイシャー国際平和自然公園(Waterton Glacier International Peace Park)」はアメリカとカナダの国境を跨いだ自然公園であり、両国が領有権を主張せず共有の公園とした世界で唯一の「平和を標榜する公園」であり、その自然の美しさのみならず平和の象徴として世界遺産に認定されたものです。

カナダのアルバータ州にある「ウォータートン・レーク国立公園」と、アメリカのモンタナ州にある「グレイシャー国立公園」とが繋がっていて、まさに平和を語るにふさわしい自然公園です。

北米大陸を縦断するロッキー山脈のほぼ中央にあり、両国を跨ぐ位置にあります。この山脈そのものは比較的最近になってできたもので白亜紀後期から長い時間をかけて海の底にある堆積岩が地殻変動などにより押し上げられたものなのです。

さらにそのあと迎えた氷河期にできた氷河が何万年もの時間をかけて岩肌を浸食した結果、現在のような姿形をつくったのです。その自然の形態を守るべく、毎年5月下旬から8月下旬、長くても3ヵ月半しか人が入ることを許されていないエリアです。

この公園の最大の特徴は氷河湖が600個以上も存在することです。そして南に行くほど湖の周囲には広葉樹と草原が広がり、熊やシカの仲間のムースやエルクなど野生動物たちの楽園となっています。

両国の国境が接する位置にあるのがアッパー・ウォータートン湖(Upper Waterton Lake)であるのですが、ここには観光ホテルとして有名なプリンス・オブ・ウェールズ・ホテル(Prince of Wales Hotel)があり、そこから眺める湖は国境を越えてモンタナ州まで続いており、両側から湖にせり出す山並みは幾重にも重なって、美しいグラデーションを見せてくれます。また公園入り口にあるバッファロー・パドック(Buffalo Paddock)では野生のバッファローが生息しているのを見ることができます。

また、やはり同じく国境にそびえたって見えるのがチーフ・マウンテン(Chief Mountain)です。その457メートルにもおよぶ絶壁を持つ岩山はSF映画でもおなじみであり、宇宙人との交流を求めて訪れる人がいるほど現実離れした奇妙な姿を見せています。

しかし、このウォータートン・グレイシャー国際平和自然公園の背景には先住民への迫害の歴史が隠されており、観光開発の難しさを教訓としていまに伝えております。また近年では石炭、石油、ガスなどの地下資源の宝庫であることが注目されており、資源開発の名の下に世界遺産が破壊されることが懸念されています。

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