日本世界遺産

富士山―信仰の対象と芸術の源泉

2013年、日本の象徴・富士山が、「富士山―信仰の対象と芸術の源泉」という名称で世界遺産に登録されました。富士山は日本一の高さを持つ、私たち日本人にとっての誇りであると同時に、外国人にとっても日本の観光地として真っ先に思い出される存在です。しかし、その世界遺産登録までの道のりは、決して平たんなものではありませんでした。

世界遺産「富士山―信仰の対象と芸術の源泉」を誕生させる運動は、1990年代には既に始まっていました。その時は、文化遺産としてではなく、自然遺産として認定されることを目指していました。しかし、ゴミ問題などの環境問題があったこと、また本来の自然そのものがきちんと現存しているとはいえない状態があることなどがあり、世界自然遺産への道は諦めざるをえなくなったのです。

これらの諸問題を受け、世界遺産登録への道は、世界文化遺産を目指す方向に切り替わりました。富士山には、古くから私たちの心を癒してきた雄大な景観美があり、多くの芸術家たちが被写体として描いてきました。そして、もう一つ、私たちは古くから「富士信仰」というものを持ち、ご神体として崇めてきた歴史があります。

これらの文化的背景は世界に誇るべきものであり、2005年には世界文化遺産申請のためのプロジェクトがスタートしたのです。2012年には文化庁がイコモス(国際記念物遺跡会議)に推薦書を提出。イコモスによる現地調査を経て、ようやく2013年に世界遺産に登録されました。

富士山は、はるか昔から信仰の対象になっていて、富士山をご神体とする「浅間神社」や富士塚などが築かれていました。江戸時代以前は位の高い人が信仰するものでしたが、江戸時代から庶民の間にも富士信仰が広がり、人々が巡礼のために富士登山をするようになりました。

浅間神社の総本宮「富士山本宮浅間大社」は、富士八合目以上をご神体として管理していて、この社を含めた8件の浅間神社及び富士信仰を支えた2件の御師邸宅が、今回世界遺産に登録されています。

富士信仰を象徴するものとしてそのほかに、火山活動によって溶岩が木の幹を吸収してできた独特の地形「船津胎内樹型」や「吉田胎内樹型」や八大竜王が祀られている8つの池「忍野八海」も、世界遺産の登録範囲に指定されています。

富士山といえば、日本の芸術家にとっては永遠のテーマです。富士五湖に映る「逆さ富士」、夏に朝焼けで赤く染まる姿は「赤富士」として有名で、葛飾北斎、河村岷雪、歌川広重ら巨匠たちがインスピレーションの源にしました。断崖から白い滝が無数に落ちてくる「白糸の滝」は、誰もが感動せずにはいられない美しさを持ち、三保松原からの絶景は、古くから人気を集めてきました。

このように、人の心を揺さぶる風景、自然があり、何故か私たち日本人は、その光景に吸い込まれてしまうようです。富士山の持つ雄大さが、ずっと私たちを見守ってきたのは間違いないことでしょう。

富士山は世界遺産デビューを果たしましたが、実際には今後の課題が山積しています。観光客が益々増えることが予想されていますが、一方で、喧騒や更なるゴミによる環境の悪化も懸念されています。私たち日本人が率先して、周辺地域の環境を守っていけたらいいと思います。

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