ブラジル世界遺産
サン・ルイス歴史地区
ブラジル北東部マラニャン州の首都で、メアレム川、イタペクル川、ピンダレー川に囲まれた三角州のサン・マルコス湾内のサン・ルイス島にあります。サン・ルイスはブラジルで唯一フランス人によって建設された町です。

1612年新植民地建設のため最初にヨーロッパからやってきたのは、フランス人でした。サン・ルイスという名前も当時のフランス国王ルイ13世と聖人であるルイ9世にちなんでつけられたものであるといわれています。しかしわずか3年後の1615年に町はポルトガルによる侵攻を受けフランス人はわずかな期間、町を建設しただけで、サン・ルイスから追放されました。その後オランダの侵攻も受け、いくつかの国の支配下におかれながらもサン・ルイスは、タバコ、サトウキビ、カカオなどの産業を中心に発展していきました。 南北戦争後には、イギリスへの綿の輸出で急速に繁栄し、一気に近代化の道をたどりました。
サン・ルイス地域はラテンアメリカで殖民地時代のポルトガル建築をもっともいい状態で保存しているとし、その文化的価値が広く認められ1997年にユネスコ世界遺産に登録されました。現在は、マデイラ港、イタクイ港という2つの主な港を持ち、アマゾン川流域から採掘されたブラジルの鉄鉱石のほとんどをここから輸出しています。
フランスの植民地開拓時に建設されたのは、レオエス宮殿です。新古典様式で建てられており、石造りの城壁で囲まれています。フランスの支配は短いので、町にある多くの建物はポルトガル様式で建てられています。縦に長く丸みをおびた入り口、飾り窓はポルトガル様式の特徴です。もっとも大きな特徴は建物の壁面をアズレージョといわれるポルトガル独特の装飾タイルで覆っているところです。耐久性に優れているといわれているこのタイルは殖民地時代ポルトガル人が本土から船で運んできたといわれています。
サン・ルイスでは毎年復活祭の後から6月にかけてブンバ・メウ・ボイと呼ばれる大々的なお祭りがあります。6月中はほぼ毎晩聖人サン・ジョアンの日までダンスや催しが行われます。街中も色とりどりの旗などで飾られ夜通しお祭り騒ぎがおこります。 ユニークな衣装や帽子を身に付けた人々が町を練り歩きます。観衆も歌や踊りに加わり、2本の木のマラカスを持って演奏するそうです。牛のお祭りともいわれ、牛もパレードに参加します。リオのカーニバルとはまた違った雰囲気のお祭り、遠い植民地時代のポルトガル建築を見ながら楽しんでみてはいかがでしょう。