インド世界遺産
スンダルバンス国立公園
インドの東部、西ベンガル州の南端に、世界最大規模といわれる広大な三角州の湿地帯≪ガンジス・デルタ地帯≫が広がっています。バングラディッシュとの国境付近にあり、その規模は、東西に約250km、南北に約40~80kmで、およそ13万ha以上の広域にわたります。

ここは『スンダルバンス国立公園』と呼ばれ、1987年には世界遺産にも登録された、多種多様な動植物の住処・繁殖地・成長地となっている貴重な自然遺産なのです。
『スンダルバンス国立公園』の特徴は、デルタ地帯に広がる世界規模の「マングローブ」の密林地帯です。マングローブは海でも育つ木として有名ですよね。この「マングローブ」の森は、度々襲いかかるサイクロン(暴風雨)から守ってくれる自然防波堤の役割をしています。
また、三角州という地形の特権である各地から運ばれてくる土砂には多くの栄養分を含んでいることから、多くの海洋類の羽化期を過ごす場所となっています。その種類は、ガンジスカワイルカやカワゴンドウを始めとした哺乳類やカンプヒメウミガメなどのウミガメ類、絶滅危惧されているイリエワニを含む爬虫類など多岐にわたります。
もちろん『スンダルバンス国立公園』には、海洋類だけでなく陸上生物も多く生息しています。
中でも最も有名なのが「ベンガルトラ」です。1970年代初頭の起こった≪プロジェクト・タイガー≫により、『スンダルバンス国立公園』はベンガルトラ保護区にも指定される程、貴重な生息地のひとつなのです。それもそのはず。なんとインド国内最多と言われる、約200頭以上のベンガルトラが生息していると言われています。
ベンガルトラだけでなくトラは世界中で絶滅危惧され手厚く保護される対象でもあります。それは、皮だけでなく全身のあらゆる部分が漢方薬などの材料として高値で取引されることが多くの要因の一つです。他には、森林破壊などにより、トラのえさの減少なども要因と考えられています。
その他には、マングースやアカゲザル、ベンガルヤマネコやヒョウ、ジャングルキャットなどなどの動物や、コウノトリ類やカワセミ科を始めとした鳥類も多く生息しています。
このように、デルタ地帯という特殊な自然環境や豊かな土壌により、哺乳類から爬虫類までありとあらゆる生物が共存している事から世界遺産として大切に保護される事となりました。
観光も、船の上からか、指定された観測地点のみで行う事が義務付けられています。みんなでこの貴重な自然環境を守っていきたいですね。