イギリス世界遺産

ロンドン塔

1988年に登録されたイギリスの世界遺産「ロンドン塔」は、世界中にある世界遺産の中でも、類を見ないほど実に多様な使われ方をしてきた建造物です。
もともとは要塞として建築されながら、宮殿、監獄、処刑場、武器庫、宝物庫としても利用されたほかに、その後、銀行、動物園、造幣所、天文台としても利用された歴史を持っています。

ロンドン塔は、イギリスの他の世界遺産や名所・旧跡に比べても非常に多くの観光客が訪れる人気スポットとなっています。
その理由は、多くの身分の高い王族・皇族や有名人が投獄され、そして打ち首と言う残虐な処刑が行われたという血みどろ歴史を持った場所であることに加えて、南アフリカ政府が英国王室に贈呈したと言う「カリナン」と呼ばれ、500カラットを超える世界最大級の大きなダイヤモンドを始め、イギリス歴代の王室に伝わる王冠・宝剣・宝石などの豪華な装飾品の数々が展示されていることにあると言ってよいでしょう。

この世界遺産のロンドン塔はイギリスロンドン中心部の東部テムズ川の河畔、ロンドンブリッジの側に18エーカー(約2.2万坪)という広大な敷地に灰色の石灰岩でできた頑丈な外壁に囲まれて存在します。
尚、ロンドン塔は、正式な名称でなく、正式名称は「女王陛下の宮殿にして要塞」という長い名前がついています。
敷地内には、数多くの塔や建造物があり、その中で多くのさまざまな歴史模様が繰り広げられてきました。

ロンドン塔の中心部にある建物が、イギリスを征服したウィリアム1世が11世紀後半に最初に要塞として建造した四隅に塔のあるロンドン塔のシンボルであるホワイトタワーです。
ホワイトタワーの内部には、中世の国王などが使った甲冑や武器、そして国王が使用したと思われる愛馬を見事に彫刻した木製の馬などが展示されています。

そして、ホワイトタワーの南側にかつてのテムズ川に面したセントトーマスタワーにあるトレイターズ・ゲート(裏切りの門)は、後に多数の処刑者や投獄者がここから、ロンドン塔の中の監獄に入れられるために通った門です。
投獄されながらも、後に女王になったエリザベス1世や国王ヘンリー8世の第二妃でありながら打ち首の処刑となって、その恨みから幽霊になって現れたと言う目撃情報が多数あるアン・ブーリンらがここを通って投獄されました。
このセントトーマスタワーのすぐ近くには、ブラディータワー(血の塔)があります。
この塔では、13歳で即位したエドワード5世とその弟が幽閉後、処刑されています。
その遺骨と推定される骨は、200年後にようやくホワイトタワー内に埋められていたのが発見されています。

このブラディータワーに隣接したウェイクフィールドタワーには、ここで行われたであろう拷問に関する資料の展示がされています。
ホワイトタワーの西側にあるタワーグリーンと呼ばれる広場では、打ち首の処刑が行われた場所です。

また、ロンドン塔は、クラウン・ジュエル(イギリス王室の儀式用の宝石類)の保管場所としても有名ですが、それらは、ウォータールーブロックという建物がジュエルハウス(宝物庫)となり、ここに展示されています。
この建物はホワイトタワーのすぐ北側にあります。建物内は撮影禁止です。

ロンドン塔は、人間の欲望が渦巻き、もっとも醜悪で残虐な方法での拷問・処刑が行われた場所であるがために、その人間模様が織りなした歴史が感じ取れる実に興味深い世界遺産です。
面倒ですが、事前に歴史を調べることでロンドン塔への興味と訪問したときの感動が大きくなることでしょう。
ロンドン塔を一通り見るには2,3時間は見ておく必要があります。
ロンドン塔で建物にまつわること以外で有名なことは、ロンドン塔で飼われているカラスのことと、ビフィーターと呼ばれる衛兵のことがあります。
カラスは、17世紀中頃から終わりにかけて在位したチャールズ2世の時代に、大カラスがロンドン塔を去るとイギリス王室が崩壊を迎えるという予言を受け、一定数のカラスを飼うことになったと言われています。
そのカラスは、処刑された人の肉を食べるために集まったカラスです。6羽が飼われ、飛べないように羽を切られています。

ビフィーターは、正式名称はヨーマン・ウィーダーと言います。
ビフィーターはビーフ・イーター(肉を食べる人)の意味で、昔、衛兵に肉を給与の一部として与えていたことからそう呼ばれています。
現代のビフィーターは、退役軍人が務め、当時の服装を着用し、見学ツアーの説明を面白く、かつ興味深く語ってくれることで人気があります。

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