ドイツ世界遺産
ランメルスベルク鉱山、ゴスラーの歴史都市および上ハルツの給水システム
ドイツ中部のハルツ山地の北側にドイツで長く鉱山として人々の夢を掘り出していた世界遺産があります。ニーダーザクセン州にあるランメルスベルク鉱山は鉱物が枯れる1980年代まで長く鉱山として銀、鉛、銅を採掘してきました。

考古学的観点からは13世紀から14世紀に採掘作業が始まったと言われていますが、鉱山近くの遺跡から発掘されたものからランメルスベルク鉱山の金属が含まれていることが確認されたためおよそ1000年前から鉱山として利用されてきたのではないかといわれています。
現在は当時の採掘作業の様子などを展示する博物館があり、昔ながらのドイツの田舎町を感じることができる静かな街並みとなっています。魔女狩りで30人近くの人が犠牲となった歴史も持っており、中世のヨーロッパならではの歴史を感じることもできます。面白いのは魔女狩りが決して愉快な歴史でないにもかかわらず、現在では魔女がゴスラー地区の人気キャラクターとなっているところです。
旧市街にはドイツの伝統的な煉瓦造りの建物が立ち並び、水路も整備されています。この水路のもとになっているのが、ハルツの給水システムといわれ、2010年ランメルスベルク鉱山、ゴスラーの歴史都市に追加して世界遺産として拡張登録されました。
1545年頃、鉱山の水脈を確保するため100以上の貯水池と500キロ以上の水路が作られました。この水利システムによって当時の銀、銅、鉛の採掘は積極的に行われ、当時神聖ローマ帝国の主要な都市であったゴスラーに多くの富をもたらしました。現在でもニーダーザクセン州の人々の給水確保や洪水防止などに役立っています。
ゴスラーの歴史都市までは、ハノーファー空港から車で1時間半ほど、決して交通の便がよくないということもあり、アジアからの観光客はそう多くはないです。落ち着いて世界遺産を楽しみたい人にはかえっていいかもしれません。
町の入り口には、少し近代的な時計台のついた雰囲気のある建物がある。その横には面白いアイアン製の男の人と女の人のオブジェがあり、古い町並みとの対比が面白いです。ゴスラーの町にはいたるところに面白いオブジェがあるようです。
町のマルクト広場にあるからくり時計は観光の目玉の一つとなっています。リアルな人形たちが鉱山の採掘シーンを表現している姿は一見の価値ありです。広場の中でひときわ目を引くオレンジ色の建物はカイザーヴォルトと呼ばれるギルド会館です。1494年に毛織物業者のギルドが建てたと言われています。現在はホテルとして使われていますが、当時の繁栄を思わせる皇帝の装飾が美しく見ものです。よく見ると一つ一つの皇帝の像の下にそれぞれ違うユニークな装飾があり、それを意識してみるとまた違った見方ができて面白いかもしれません。
中でもおしりにコインを挟んでいる「尻小僧」はおしりからお金を生み出していると言われ、当時のゴスラー地方の繁栄ぶりを伺わせて大変興味深いです。
鉱山や歴史に特に興味がなくても他の場所とは違ったヨーロッパのユーモアが感じられるゴスラー地区、ぜひ訪れてみてはどうでしょうか。