ドイツ世界遺産
ブレーメンのマルクト広場の市庁舎とローランド像
ロバの上にイヌが乗り、イヌの上にネコが乗り、ネコの上にニワトリが乗っている姿を想像してみてください。これはある有名な物語の一場面です。そうです、「ブレーメンの音楽隊」という人間に捨てられた動物たちが、みんなで協力して自分たちの幸せを手に入れるというグリム童話の1つです。この童話で動物たちは実際にはドイツのブレーメンには行っていませんが、タイトルがあまりにも広く知られているためマルクト広場にある市庁舎の西側には、この町にちなんだ物語の象徴としてロバ、イヌ、ネコ、ニワトリの像が立っています。

ブレーメンの旧市街にあるマルクト広場は、ドイツの世界遺産の一つで観光名所としても有名です。マルクト広場の真正面には、かの有名なローラント像があります。ローラントはローランの歌という中世文学に登場する英雄ローラントの巨大な立像で、観光の目玉となっています。
ローラントは十二勇将の一人で、大変勇敢で最後まであきらめずに敵と戦ったと言われています。通常立像といわれると2メートル程度のものを想像するかもしれませんが、この立像は大変大きく天蓋部分を含めると10メートル以上もあり圧巻です。この立像は長い間、市民の自由と独立を守るための象徴とされてきました。
広場にある市庁舎も見どころの一つです。市庁舎が最初に建てられたのは、今から600年以上前のことです。その後、何度か改築が行われ現在の形になりました。建物のほとんどがルネッサンス様式でたてられており、ヨーロッパにおけるブリックゴシック建築の特徴的な建造物です。特徴のあるごつごつしたゴシック調の三角屋根はヨーロッパの建築の美しさを象徴しているようです。建物のバルコニーの部分には、ローマ皇帝のカール大帝と7人の歴代帝の像があります。市庁舎の地下にはドイツ最古のワインの樽蔵があり、400種類以上のワインがあります。まぶしいほどの金箔がはりめぐされたアールヌーボー様式の金の小部屋という会議室も一見の価値ありです。
市庁舎の隣には、中に博物館のある聖ペトリ大聖堂があります。2つの塔があるゴシック様式の聖堂で、内部にはステンドグラスなどの美しい装飾がなされています。教会の歴史は古く、最初の木造教会はおよそ1200年も前に建てられていて、その後何度か改築が行われ現在の聖堂となりました。広場自体が一つの町のようになっており、典型的なヨーロッパの建物を眺めながら歩くだけでも十分楽しめるかと思います。