中国世界遺産

福建土楼

福建土楼は、中原出身の客家が中国福建省南西部の山岳地帯に築いた土楼群で、2008年に世界遺産に登録されました。その建築様式は「超」個性的とも呼べるもので、福建土楼の一部は、80年代にはロサンゼルスで行われた建築博覧会で脚光を浴びたことでも知られています。福建省には土楼が20,000棟もあるといわれていますが、世界遺産に登録されたのは、そのうちの約3,000棟です。

「客家」とは、中国が天下を獲る上で最も重要とされた地、中原出身の元王族や貴族たちのことです。春秋時代より、中原の地では戦乱が絶えることなく繰り広げられ、そこで敗北した元王朝や貴族の人々は中原から逃れることを余儀なくされてきました。そして中原から逃れ、南下してきた人々は、新天地に居住することになったのですが、元王族・貴族というプライドがあってか、南部住民となかなか折り合いがつかず、南部の人から見て、北からきたこれらの人々はあくまでよそ者でした。「客家」は「よそ者」を意味する言葉で、これ以降、「客家=北から失脚して逃れてきた人たち」という呼び方が定着したのです。

福建省に住む客家と住民の間には、軋轢が絶えませんでした。そこで、自分たちの身を守るために合理的な居住地を造ることにしました。こうして出来たのが、「福建土楼」です。福建土楼は、住民との軋轢により防御策が講じられ、その末にできた建築物です。また、19世紀には盗賊被害が相次ぎ、盗賊から身を守るという意味合いも加わり、鉄壁を誇るような外観が進化していきました。中国には、中原を逃れた客家が福建省以外の場所にも多く居住していましたが、福建省においては、その様々な背景から、「防御壁を兼ねた居住地」というスタイルが進化したものと思われます。因みに、「福建土楼」とは、あくまで「福建スタイルの土楼」であり、ほかの土楼とは区別され、独自のスタイルを築いています。

「福建土楼」の多くは円楼で、稀に四角形、五角形、楕円形の楼閣もあります。円楼の典型的建築様式を見ると、まず中心には祖先を祀る「祖堂」があり、それを囲むようにして家々が二重、三重に建てられています。そして更にその家々を、三層の居住地を兼ねた円楼が囲い、それらが城壁の役割をしています。これらが、一つの集合住宅として機能し、主に一族が同じ土楼に居住しています。航空写真で見ると、家々の屋根が円を何重にも描いたような光景が、非常に個性的であることがよくわかります。これらの福建土楼は、現在も生活の場として機能しているので、世界遺産とはいえ、公開されている物件はごく僅かです。

「福建土楼」には、客家の波乱に満ちた歴史と、そこから身を守るための様々な知恵があります。それは、中国国内においても、この場所でしか見られない、客家オリジナルの生活・建築様式です。もしここを訪れる機会のある人には、現地住民のささやかな生活の邪魔をせずに土楼めぐりをすることをお勧めします。

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