イタリア世界遺産

ティヴォリのエステ家別荘

有名なハンガリーの作曲家フランツ・リストが、晩年に作曲した「エステ荘の噴水」という名曲があります。

ピアノ独奏曲集「巡礼の年」の中の一曲です。
音符ひとつひとつが、千々にきらめく噴水のしずくそのもののように、変幻自在なメロディーで表現された素晴らしい曲です。
ピアノの魔術師とも言われたフランツ・リストについては、多くの女性との恋物語が伝わっていますが、その中の一つが、ザイン・ヴィトゲンシュタイン公爵夫人との悲しい愛の物語です。

1861年リストはワイマールを去り、1847年にキエフで知りあったザイン・ヴィトゲンシュタイン公爵夫人、カロリーネとの結婚を望み、イタリアのローマを訪れました。
けれども、当時のローマ法王が彼女の離婚を宣告する事を拒絶し、カロリーネと結婚する夢は叶いませんでした。
傷心のリストは1865年に僧職につき、イタリア、ティヴォリのエステ家別荘に滞在しました。
名曲「エステ荘の噴水」は、500以上もの見事な噴水で知られるこの庭園に、インスピレーションを得て作曲されたのです。

ユネスコの世界遺産の登録数が世界一の国といえば、イタリアです。
ティヴォリのエステ家別荘は、2001年に世界遺産に登録されました。
イタリアのローマ近郊の斜面に位置する緑豊かなティヴォリは、すでに古代ローマ時代から、上流階級の人々の保養地とされていました。
16世紀以降になると、多くのイタリアの貴族がティヴォリに別荘を建てるようになりましたが、ティヴォリのエステ家別荘はその代表格といっていいでしょう。

その昔、枢機卿イッポリート・デステは、息子アンリ2世の治世になってから、ローマ教皇の座をめぐる争いに敗れて失脚し、ティヴォリに隠遁することにしました。
そして、ベネディクト会修道院の建物が建っていた場所に、別荘を建てることにしたのです。
それが、のちに世界遺産に登録されることになるティヴォリのエステ家別荘です。

イッポリート・デステは、建物の建設を、ナポリの建築家ピルロ・リゴーリオに依頼しました。
別荘の周囲には、土地の高低差と近くを流れる川の水を利用して、数多くの噴水を配置した大規模な庭園を作らせました。
フレスコ画で装飾された建物と、豊かな水と彫刻で当時の技術の粋を集めて作られた噴水庭園は、ルネサンス芸術の結晶といわれています。

ティヴォリのエステ家別荘の庭園で、とくに有名な噴水が、オルガンの噴水です。
水力でオルガンが奏でられるというバロック式建築の傑作です。
イタリアを旅して、世界遺産のティヴォリのエステ家別荘を訪れたときは、教皇への夢破れた枢機卿イッポリート・デステの情熱と、恋がかなわなかったリストの慕情を想いながら、噴水の調べに心をゆだねてみるのもいいかもしれません。

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